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日ハムの大谷選手獲得に見る、「いいひと」がモテない理由

日本ハムが「大リーグに行くって決めてるんですっ!」って宣言していた大谷選手を、交渉の末、日本ハムへの入団を決意させたそうです。

 

大谷、やっと笑顔の日本ハム入り表明 (サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース

 

いえ、私は全然野球見ないのですけど、ドラフト時の会見の「メジャーに行きます」という彼の宣言は印象深く、一度ちょこっとこのブログのネタにもしていたので、この結果には驚きました。

それはそれは、彼の決意はとても固そうに見えたので。

 

そんな劇的な翻意の陰には、日本ハムの熱い交渉努力が隠れていたそうです。

 

日本ハム“計算ずく”の戦略…最初に示した資料が決め手に (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

 

なるほど~。

この周到な交渉体制を見ると、日本ハムの「絶対に大谷君が欲しい」という強い熱意が見えてくる気がします。

 

ただ、そんな中、この結果に納得がいかないのが楽天の星野監督です。

 

星野監督、激怒!日本ハム・大谷にモノ申す「ドラフトの意味ない」…楽天 (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 

星野監督としては、楽天も本当は彼が欲しかったけど、本人の「メジャーに行く」という気持ちを尊重してあえて指名しなかったのにズルいと、そういうことのようです。

 

 

うーん、そうなんですよね、確かに星野監督の言うように「本人の意思を尊重する」って大事なことですし、間違ったことは言っていないとは思います。いえ、実際もう正論と言ってもいいでしょう。

 

ただ、本人の意思を尊重した楽天が泣いて、本人の意思を尊重しなかった日ハムが笑うというこの結果。私が思いますに、実は恋愛における「いいひと」問題の構図と一緒なんですよ。

 

 

  ◆

 

 

「いいひと」って言われるけどモテないという悩みは、古今東西、老若男女でずーっと嘆かれてきてることと思います。

こっちは、こんなに真面目に、こんなに誠実に、こんなに正直に動いているのに、どうしてあんな不真面目そうな、あんな不誠実そうな、あんな不正直なヤツがモテるのか。

「いいひと」のいつもの仏のようなお顔も、この呪詛を語るときだけは、般若のようなお顔になってしまうといいますか。

 

ええ、でもほんと不思議ですよねー。

 

 

で、この不思議の原因の1つとして私が思っているのが、「本人の意思を尊重する」の有無なんです。

「いいひと」って、すごく優しいじゃないですか、すごく気も回るし。ほんと、人の嫌がることってしないんですよね。だから、相手の意見、本人の意思というものもすごく尊重するんです。

逆に「わるいひと」って、まあすごく自分勝手で、傍若無人です。ほんと、人の気も知らないで、自分のやりたいようにやるんです。だから、尊重するのは自分の意思であって、相手の意思じゃなかったりするんです。

こうやってみると、どう考えても「いいひと」が正しい人のようですけれど、恋愛ではこれが違った効果を見せてくるんです。

 

 

恋愛というものは、最初、相手との距離を縮めていかないといけないわけですが、これはいわゆるパーソナルスペースにどんどん入り込んでいくことと言えます(パーソナルスペース - Wikipedia)。

パーソナルスペース有名ですけれど、簡単に説明しますと、電車で座ってる時などに何となく間をあけて座ってしまう、アレです。親しい人じゃない他人を自分の近い範囲に入れると嫌というのが人情なのでございます。

 

そんな、パーソナルスペースに他人の間柄からどんどん侵入しようと試みる時に「いいひと」「わるいひと」はどうするでしょうか。

 

「いいひと」は本人のOKが出てから中へ進みます。だって、パーソナルスペースに勝手に入ったら普通の人は嫌がるってことは分かっているので、「いいひと」は本人の意思が確認できないと入らないんです。

一方、「わるいひと」は本人のOKが出てなくても中に進みます。だって、パーソナルスペースに勝手に入ったら本人は嫌がるかもしれないけれど――というか下手をすると相手が嫌がるかどうかとかそんなこと考えたこともないので――ただ自分が入りたいので入るんです。

 

当然、勝手に入った「わるいひと」は、相手の怒りを買って、叩き出されることがあります。でも、重要な成果があるんです。それは、相手に「この人は自分のパーソナルスペースの中に入りたがっていた」、つまり「自分に好意を持っている」ということが確実に伝わるということです。

そう、一方で、入らなかった「いいひと」は、相手の怒りを買うこともなく、叩き出されることはありません。でも、相手にとって「いいひと」が「自分のパーソナルスペースの中に入りたがっているのかどうか」、「自分のことを好きなのかどうか」さっぱり伝わらないんですよね。

 

つまり、「わるいひと」は相手の意思を尊重せずに、自分の意思を尊重するからこそ、自分の好きの気持ちが相手によく伝わって、「いいひと」は相手の意思を尊重して、自分の意思を我慢するから、自分の好きの気持ちが相手に全然伝わらないんです。

 

そして、人間、案外好かれると好きになってしまうんですよね。

ま、少なくとも意識はしてしまうようになってしまうんです。

これが当然有利なのは言うまでもありません。

 

 

 

さて、ここで、もしお互いが完全に「いいひと」だったらどうなります?

そう、全く二人とも歩み寄らないんですよね、仮に両想いだったとしても・・・。

 

そんな中、どっかから「わるいひと」が現れて、急速に接近していって、気づいたら奪われてしまっていて。

 

そんな時に「いいひと」は言うんです。

 

「自分も好きだったけど、相手の気持ちも尊重して我慢してたのに、ズルイ」

 

でも、どんなに好きだと思っていても、どんなに大事にしていたとしても、言葉に出したり、行動に出さないと、相手には伝わらないんですよ。

 

言わないと思ってないのと同じなんですよ。

 

 

だからやっぱり今回は、多分星野監督は「いいひと」で、日本ハムは「わるいひと」で。

何せ、日本ハムさんは、本人から「近づいてこないで!」ってわざわざ言われていたのに近づいていっちゃったんですから、「いいひと」には絶対にできない芸当です。

でも、きっと本当に相手を思っていたから、自分の気持ちに嘘をつきたくなかったから、勝手に前に出たんです。

 

そして、本当にハートを奪って帰ってきちゃったと。

 

 

わぁ、かっこよすぎ。。。

 

 

 

 

・・・うん、正しいことばっかりじゃダメだから、恋愛って難しいですよね。

 

 

 

 

 

P.S.

自戒の念も込めて・・・。

 

でも「わるいひと」すぎると、親密になってから何かと衝突が多くなっちゃいますけどねー。何事もバランスでしょうか。

 

最近、固い話ばかりでしたので、たまにはこういう雰囲気も(/ω\)