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雪見、月見、花見。

ぼーっと考えたことを書いています。

長時間労働というドラッグ

社会 労働

昨日書いた記事を読み返していて、

 「でも、長時間働く人ってのは、勤勉にがんばってるんだから、

  褒めて称えてあげるべきじゃないの?」

って思う人もいるかも、ってことで、さらに続きで書いてしまいます。

 

 

結論から言いますと、長時間労働はドラッグみたいなものです。

禁断の果実です。

真っ当に生きようと思ってるなら手を出しちゃいけません。

そんなドラッグ漬けになってる人を救うことは考えても、褒めるわけにはいきません。

 

 

            ◆

 

 

最初はほんの出来心だったのかもしれません。

そして、それはもしかすると善意からのことでさえあったかもしれません。

 

 

今日一日がんばったけど、仕事が少し時間内に終わらなかった。

そんな時、真面目なあなたはどうするでしょう。

 「もうちょっと遅くまでがんばってやっちゃおっか」

当然起こりうる感覚だと思います。

でも、ちょっと待ってください。

真面目なあなたですから、日中サボっていたわけではないんです。

とってもがんばっていたんです。

それでも仕事が残っているなら、それは仕事の方が多すぎるのではないでしょうか。

でも、あなたは言うでしょう、

 「ううん、でも他の人にやらせるのは悪いし、

  私ががんばって片付けちゃうから」

こういう姿勢は、私は本当は大好きなんです。

ですが・・・、これは非常に危険な一手なんです。

 

 

自慢する性分でもないので、密かに仕事を片付けたあなたですが、また次の日も仕事が始まります。

ですが、今日もまた同じようにちょっと多めのお仕事が待っています

だって、上層部やお客さんから見たら、あくまで昨日は特に問題無く片付いた仕事量なのですから。

特に上層部から見たらなるべく職員に多く働いてもらった方が得に決まっています。

当然、あなたができる上限まで仕事量を引き上げて来るのです。

ここで反抗することはできますが、真面目なあなたは、文句も言わず、黙々と仕事をこなすかもしれません。

そして、昨日と同じくやっぱり日中には終わらないので、今日も残業をすることになります。

 「でも、残業といってもほんの少し。仕事が忙しいのはいいことだし。

  仕方ない。仕方ない」

あなたはそう自分を納得させるかもしれません。

もちろん、その翌日もまた同じちょっと多めのお仕事が待っています

 

 

そうして少し残業することが日常となったある日、職場に変化が起きます。

他の人もみんな少しずつ残業するようになっているのです。

みんな、どうして?

あなたのせいです。

あなたは残業を利用して働いた結果、他の人より多くの仕事量をこなす優秀な職員として認定されたのです。

上層部から見たら、より多く働いてくれる職員が良いに決まっています。

そして上層部は言うのです。

 「"あなた"はこれだけの仕事量をこなしているぞ。

  他のみんなも見習って、もっとよく働けよ。」

他の人としても、あなたが文句も言わず実際にやっているわけですから、反対するのは難しいです。

しかも残業すると言っても、少しです。

上の覚えもよくなるのであれば、やらない手はないでしょう。

こうして、みんな残業を始めます。

 

 

皮肉な話です。

みんなの仕事を増やさないようにと思って、善意でがんばったことだったのに、そのせいで、みんなの仕事が日常的に増えてしまったのです。

 

 

そして、話はここで終わりません。

すでにドラッグは体内に入ってしまいました。

あとは回るだけです・・・。

 

 

ある日、あなたは仕事が更に増えていることに気づきます。

上の無茶な采配です。

これを終わらせるには、また更に少し残業を延長しないといけなさそうです。

あなたがこれに従えば、また同じループが始まります。

しかし、あなたがこれに従わなくても、今度は他の人が残業を延長するかもしれません。

そうすれば、あなたが「あいつを見習え」と言われる番になります。

あなたはそれに抗えるでしょうか?

 

 

「残業すれば、上からの評価が良くなる」

これをみんなが知ってしまったのです。

「残業を推奨すれば、全体の仕事量が上がる」

これを上層部が知ってしまったのです。

実際、残業時間を伸ばすという行為は行為そのものは何の能力も要らないものです。

どんなに無能であっても、簡単に評価を上げることができるのです。

非常に簡単に、しかも即効性に快楽が得られる。

本当に魔法の薬なんです。

止められるはずがありません。

これをドラッグと言わずに何と呼ぶべきでしょう。

 

 

今からでも文句を言ってみますか?

でも、あなたが上に文句を言ってみたら、隣の誰かがこう言うかもしれません。

 「あ、俺はこれぐらいの残業ならがんばりますけどね。

  ま、"あなた"さんはあんまり仕事熱心じゃないみたいですけど(笑)」

こうなってしまえば、上から自分がどういう評価になるかは想像に難くありません。

あなたも自分の生活を守らないといけませんから、屈服する他なさそうです。

 

 

こうしてみんなの黙認のもと、残業時間は伸びてゆきます。

徐々に、そして確実に伸びていきます。

上層部が引き上げることもあれば、覚えめでたくなりたい職員の一人が自ら残業を引き伸ばすこともあるでしょう。

止める者は誰もいません。

 

”社会的な限界”が突破された今、上限は”生物的な限界”です。

時々その限界を越えてしまって、過労死する者や自殺する者が出ますが、そんなことみんな見てみぬふりです。

 「そうは言ってもどうしようもないもの。

  私だってしんどいのにがんばってるんだから」

あんなに優しかったはずの”あなた”はどこへ行ってしまったのでしょうか。

このドラッグは最初の快楽と引換に、身体を、精神を、確実に蝕んでしまうのです。

 

 

ドラッグと同じく、この流れを止めるとしたら最初しかありませんでした。

最初に「時間内に終わる仕事量ではありません。多すぎます。」と言わなければなりませんでした。

まだみんながその快楽を覚える前に阻止しなければなりませんでした。

でも、今既に日本の社会は長時間労働というドラッグにズブズブに漬かってしまっています。

もはや私たちのそのチャンスは遠い昔に過ぎてしまったようです。

 

 

だからといって、あきらめますか?

私はあきらめたくないです。

実際に、このドラッグで苦しんでる人をいっぱい見てるんです。

誰も悪いわけではありません。

みんな生まれた時から無意識のうちにドラッグを打ち込まれているだけなんです。

それで苦しんでる。

こんなの絶対に許せません。

 

 

ドラッグから抜け出すのは非常に難しいと言います。

でも、がんばりませんか?

今までこんなに、こんなに無茶な仕打ちに耐えてきたみんなならがんばれるはずです。

スローガンはこれです。

 

 「がんばらないことをがんばる」

 

史上最も不真面目な戦いです。

ほら、ちょっと面白そうでしょ?

 

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